グレーチングの強度計算について



1.はじめに

   道路上に設置されるみぞ蓋の機能は主に、路上の雨水を排水溝へ導く機能と、排水溝を覆い人や車の通行路を確保す

  る機能があります。特に、人や車の通行路として使用される場合、蓋の強度はみぞ蓋の選定基準として重要なポイント

  となります。

  また、みぞ蓋の種類としては、金属製の格子状蓋と鉄筋コンクリート製の蓋があります。金属製の格子状蓋の中にも、

  鋳鉄製のものやステンレス製グレーチングあるいはスチール製グレーチングなどの種類があります。

 この中で、スチール製グレーチングの強度計算について紹介します。



2.荷 重

  スチール製グレーチング(以下、グレーチングという)の強度計算に用いる荷重は、一般的に、その上を通過する可能

 性のある最大の車両の総重量(車両重量+積載重量)より計算します。荷重は車両の後輪一輪が車両重量の40%を負担

 すると考え、また、車両総重量の大きさにより、車輪(後輪)の設置面積を決定しています。(荷重一覧表)

  なお、フォークリフトや航空機、設備機械などの荷重がグレーチングにかかる場合は、条件がその都度異なるため、別

 途、設計条件の確認が必要となります。また、歩道用は群集荷重として、500kgf/uの等分布荷重で計算を行います。



 荷重一覧表     
荷重分類 車両総重量
  (kgf)
後輪一輪荷重
   (kgf)
後輪接地面積
a(o)×b(o)
T−25 25,000  10,000 200×500
T−20 20,000   8,000 200×500
T−14 14,000   5,600 200×500
T−6  6,000   2,400 200×240
T−2  2,000     800 200×160
3.衝 撃   グレーチングに作用する荷重は、その施設の条件により、車両の加速や減速、路面の凹凸などによって静荷重よりも大き  な荷重をグレーチングに与えます。一般にこれを衝撃と称し、衝撃係数をもって衝撃の度合いを表します。グレーチングの  強度計算に用いる衝撃係数は、種々の計算より、0.4としています。また、衝撃が加わるグレ−チングの施設条件は、通  行車両がグレーチングの上を横切る(横断溝)場合のみと考えます。 4.車両進行方向   グレーチングの強度計算において、もう一つ必要となる条件が、車両の進行方向です。グレーチングのメインバーの方向  に対して、車両が並行に通行する場合を横断溝といいます。また、メインバーの方向に対して車両が垂直に通行する場合を  側溝といいます。グレーチングを集水桝として使用する場合は、横断溝条件となります。ただし、この場合、衝撃係数は0  とします。また、U字溝用やかさ上げタイプのグレーチングは側溝の条件で強度計算を行います。 5.許容応力   グレーチングの強度計算は、応力値を算出することにより、その条件下で使用可能かどうかを判定します。判定の基準と  なるのが許容応力値です。   グレーチングが破損することなく安全にその目的を果たすためには、メインバーに生ずる応力が材料の破損応力に達する  程大きなものであってはなりません。また、たとえ破損応力に達しなくても弾性限度を超えれば、永久変形が生じグレーチ  ングを安全に使用し得るために許し得る限度の応力を許容応力といいます。  型式別設計条件一覧表
  用 途 ・ 区 分車両進行方向衝撃係数  ス パ ン許容応力(kgf/mu)
みぞぶた一般用 横断溝 0.4   みぞ幅    約18
 側 溝  0   みぞ幅    約18
長スパン用 横断溝 0.4 みぞ幅+50o    約16
歩道用  −  0   みぞ幅    約18
ボルト固定 横断溝 0.4 みぞ幅+50o    約18
集 水 桝 蓋 横断溝  0   桝内径    約18
か さ 上 げ 側 溝  0かさ上げ材の内のり    約18
U 字 溝 側 溝  0   みぞ幅    約18
6.強度計算   Wt:後輪一輪荷重   μ :衝撃係数  a×b:後輪接地面積   l :スパン   P :メインバーのピッチ   W :メイバー1本にかかる荷重   Z :メイバーの断面係数   α :応力   αβ:許容応力   溝条件(横断溝・側溝)などに基づき強度計算をいたします。